J.Quantification of Escherichia coli Growth Dynamics including Growth Kinetics, Growth Rate, and Acceleration

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大腸菌に増殖速度及び加速度等の増殖動態の定量

1 目的

液体培地中の大腸菌の増殖動態を定量化すること(例としてLB培地を使用):増殖曲線、増殖速度、および加速度等の主要な増殖動態パラメータを分析し取得する。

2 序論

対象とする複数の大腸菌(E. col)サンプルを採り、それらを無菌のLB液体培地に接種し接種液とします。次に、各接種液をディスポーザブルの試験管に入れサンプルとします。これらの試験管をCellStatz微生物増殖アナライザーの各検出チャンネルに挿入します。CellStatzは、各E. colサンプルの増殖曲線を自動的にリアルタイムで測定し、複数のサンプルの増殖曲線を重ね合わせて表示します。増殖曲線が決定されたらCellStatzシステムの自動データ処理機能を使って、対象のE. coliサンプルの増殖速度や加速度曲線、および主要な増殖動態パラメータが取得できます。一般的に、陽性コントロールとして既知の濃度(たとえば106 CFU/mL)のE. coli品質管理株で接種されたLB液体培地が使用され、無菌のLB液体培地が陰性コントロールとして使用されます。 この電子的モニタリングベースの方法は信頼性が高く、効率的であり、大腸菌の増殖動態の研究や関連するアプリケーションの開発に適しています。


3 手順

3.1 サンプルの準備

1) LB液体培地を滅菌し、個別の容器に分注します

2) 活性化した対象のE. coliサンプル(サンプルA、B、C、D、E、およびF)をLB液体培地に接種して接種液A、B、C、D、E、およびFとします。

3) 接種液A、B、C、D、E、およびFから各1.8 mLを取り、別々の無菌の試験管に入れ、それぞれサンプルチューブA、B、C、D、E、およびFとラベルを付けます。

4) 研究者の求めに応じ、試験管を無菌のゴム栓または無菌の0.22 µm / 13 cmのディスポーザブルフィルターで密封することも可能です。ディスポーザブルフィルターで密封する場合が図例されています。 5) 陽性コントロールサンプルO(10^6 CFU/mLのE. coli品質管理株で接種)と陰性コントロールサンプルNを上記と同様の方法と手順で用意し、後の使用の為に試験管(試験管OとN)に分注しておきます。

注: サンプルを準備する過程で、周囲の環境微生物からの汚染を避けることが不可欠です。装置にセットするまではサンプル試験管を4℃で保存し、1時間以内に使用する必要があります。

3.2 機器の準備

1) CellStatz微生物増殖アナライザーとそれに使用するコンピュータの電源をオンにします。装置は約10秒間、自己診断チェックを行います。

2) コンピュータ上でCellStatzソフトウェアのショートカットをダブルクリックし作動インターフェースを開きます。

3) バクテリアを培養する温度を設定します(36℃を例として使用)、次に「実行」をクリックします。周囲の温度が約25℃の場合、装置の検出チャンバー内の温度は約30分後に36℃で安定します。詳細については、装置の操作マニュアルを参照してください。

4) CellStatz作動インターフェースの「設定」メニューで、刺激周波数、刺激レベル、使用チャンネル、シグナル取得頻度、シグナル取得回数、および実験データの保存ファイル名などの情報を入力します。刺激周波数、刺激レベル、作動チャンネル、シグナル取得頻度、シグナル取得回数は、テンプレートデータを呼び出すことで迅速に入力することも可能です。ここでは、一般的に使用される測定パラメータを例に取って、刺激周波数、刺激レベル、作動チャンネル、シグナル取得頻度、シグナル取得回数をそれぞれ200 MHz、90%、1~8(この実験では装置の検出チャンネルに挿入できる試験管が8本に限られています)、60秒、および1200回に設定されています。実験データの保存ファイル名は「E. coli-101」とします。詳細については、装置の操作マニュアルを参照してください。

5)測定パラメータを設定したら、"OK" ボタンをクリックして記録を開始します。

3.3 増殖曲線の測定

1)CellStatz微生物増殖アナライザーの検出チャンバー内の温度が36℃で安定したら、用意したサンプルチューブ(A、B、C、D、E、およびF)と陽性コントロール試験管(O)および陰性コントロール試験管(N)を、それぞれチャンネル1から8に各試験管を順番に挿入します。注意:この操作はできるだけ迅速に、1分以内で行ってください。

2)CellStatz作業インターフェース上の "Start" ボタンをクリックすると、システムは各検出試験管内の培養液の電気伝導率を電圧値として表し、60秒毎に読み取ります。その後システムはこれらの値を基に時間を横軸とし、電導率を縦軸とするグラフにプロットし、1から8チャンネルの一次増殖曲線を作成します。これらの増殖曲線は、各作動チャンネルの対応する表示エリアにリアルタイムで表示します。増殖曲線1から6は、LB培地で培養されたサンプル試験管AからFの増殖曲線に相関します。対照的に、曲線7および8は、陽性コントロール試験管Oおよび陰性コントロール試験管Nの増殖曲線を表します。

3)使用者には作動インターフェースの "Summary" 機能エリア内から興味のある複数の増殖曲線を選択するオプションがあります。選択した増殖曲線を"Summary" 表示エリアで同時に表示、および重ね合わせて表示することができます。ユーザーは対応するオプションをクリックすることで、増殖曲線(グループ)をオフセットモードで視覚化することも可能です。さらに、曲線1から8のいずれかを基準増殖曲線に設定し、補正モードで増殖曲線(グループ)を表示することもできます。注意:一般的に、陰性サンプルNに対応する増殖曲線、つまり曲線8を基準曲線として用います。詳細については、装置のマニュアルを参照してください。

4) 手動で中断しない限り、CellStatz検出システムは指定されたシグナル取得回数制限(1200回)に達すると自動的に測定プロセスを終了し、データは指定された "E. coli-101" ファイルに保存されます。このファイルには8つの増殖曲線が1から8の名称で含まれています。または、測定プロセス中に"Save" ボタンをクリックしデータを "E. coli-101" ファイルに保存することも可能です。その場合は "E. coli-101" ファイルにはそれまでの記録シグナルの増殖曲線1から8が保存されます。注意: "Save" をクリックすると、測定操作が終了します。詳細については、装置のマニュアルを参照してください。

3.4 増殖速度曲線、増殖加速度曲線、および動態パラメータの取得

1) CellStatzインターフェース上の "Data Management" 機能バーを使って、個別に1つまたは複数のデータセットを選択し、後続の分析のために活用できます。例えば、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、および陰性コントロールNに対応する増殖曲線1から4と増殖曲線8を選択し、これらの5つの曲線を詳細に分析のために利用します。

2) 実験者はCellStatzユーザーインターフェースの "Data Management" 機能を使って、1つまたは複数のデータセットを選び分析できます。例えば、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、および陰性コントロールNに対応する増殖曲線1、2、3、4、および8を選択すると、これらの5つの曲線を各々活用できます。

多項式アルゴリズムを使って2から20の次数を入力し「Curve Fitting」ボタンをクリックすると、これらの5つの曲線を適格処理したグラフィック描画が取得できます。またドロップダウンメニューから陰性コントロール(曲線8)を選択すれば、サンプルA、B、C、およびDに対応する補正増殖曲線をフィッティング処理した曲線も取得できます。

3) 多項式アルゴリズムを選択して2から20の次数を入力した後に"Curve Fitting" ボタンをクリックすれば、サンプルA、B、C、D、および陰性コントロールNに対応する5つの選択した曲線のフィッティング処理したグラフが取得できます。陰性コントロールNに対応するサンプルA、B、C、およびDの補正増殖速度曲線は、ドロップダウンメニューから陰性コントロールNを選択することで取得できます。4サンプルの補正増殖速度曲線は"First Derivative" ボタンをクリックすれば取得できます。正規分布(bell-shaped)増殖速度曲線の最大値は大腸菌の最大増殖速度に相当します。また、複数の増殖速度曲線、例えば1,2,3を選んで同じ表示パネルにオーバレイ表示すれば、比較や分析が容易になります。また、最大値を示す時間(横軸)から、それに相当するサンプルの初期接種濃度が推測できます。一般的に横軸上での値が小さいほど高濃度で、ピークの高さ(縦軸)が大きければ大腸菌の最大増殖も大きくなります。"Peak" ボタンをクリックすると、曲線上の正確なピーク座標が表示します。作動曲線の水平軸値を組み合わせれば(作動曲線の設定については「E. coliの自動定量測定」の章で説明します)、サンプルA、B、およびCの初期濃度を算出することができます。

4)二次微分処理を行えば、上記で説明した4つの増殖速度曲線の増殖加速度曲線が得られます。例えば増殖速度曲線1、2、および3を選択した場合、"Second Derivative" ボタンをクリックするとそれぞれのピークと谷を含む3つの加速度曲線を作成します。ピーク時の横軸の値は大腸菌の増殖加速度が最大を示す時を表し、谷の横軸値は大腸菌の増殖減速度が最大になる時を示します。 "Peak" および "Trough" ボタンをクリックすると、増殖加速度曲線上の各ピークおよび谷のデータ値が直読できます。注意:詳細については、装置の操作マニュアルを参照してください。